みんなの投稿
-
下北沢X物語(1401)~鉄道X交点の謎5~
小田急線沿線に居住した二人の詩人は奇しくも鉄塔が風景の中にあった。ちょうど時を同じくして北原白秋は歌集「白南風」の序を昭和九年四月に、萩原朔太郎は詩集「氷島」の序を昭和九年二月...
-
下北沢X物語(1400)~鉄道X交点の謎4~
小田急沿線に住んだ萩原朔太郎と北原白秋の交流という点には何かの文脈、人間関係というようなものだけでなく、地域文化や沿線文化の繋がりのようなものが強く感じられる。 白秋の砧村生...
-
下北沢X物語(1399)~鉄道X交点の謎3~
鉄道交点一帯は起伏に富むところだ。「まったくただひろびろとした武蔵野で、一方に丘がつらなり、丘は竹藪と麦畑で、原始林もあった。」(「風と光と二十の私と」)と描いた原野に郊外鉄道...
-
下北沢X物語(1398)~鉄道X交点の謎2~
下北沢は鉄道によって開けた街である。鉄道が交差した当地には、その利便性から人々が多く集まってきた。その中には近代文学の、著名な書き手たちも大勢いた。なぜ集まったのか?、ことに大...
-
下北沢X物語(1397)~鉄道X交点の謎1~
「何か感触としては、今、世界というか、社会というか、時代の流れが変わってきつつあるように思います。ひたすらに一直線に前へ前へと向かっていた文明が、停滞してきたように思うのです。一...
-
下北沢X物語(1396)~「北沢川文化遺産保存の会」会...
「北沢川文化遺産保存の会」会報 第38号 会長 長井 邦雄(信濃屋食品) 2009年...
-
下北沢X物語(1395)~文学と建築のコンテキスト6~
緑が多い丘上のステータスというものはある。鉄道交点一帯では南のり面の代沢2丁目や代田2丁目である。が、まっ先に宅地として開けたのは北沢3、4丁目にかかる野屋敷だ。そこに松林の葉...
-
下北沢X物語(1394)~文学と建築のコンテキスト5~
土地の起伏と樹相とそこに住んでいた人との関係を考えることは楽しいものである。建築家今井兼次は下北沢野屋敷の松林に魅せられてそこに家を建てた。 私の最近の試みとして快活な家、近...
-
下北沢X物語(1391)~文学と建築のコンテキスト2~
鉄道交点物語は興味が尽きない。下北沢における文学と建築の脈絡について調べようと昨日、野屋敷を訪れた。「今井兼次」と表札のかかっているお宅を訪ねたが兼介氏は留守だった。ミサに行っ...
-
下北沢X物語(1390)~文学と建築のコンテキスト1~
下北沢野屋敷における建築と文学には何かの結びつきがあるに違いない。そんな感触を持っていて、取材がてら久し振りに自転車で下北沢鉄道交点付近を巡ってみた。 更地に家が建っていたり...
-
下北沢X物語(1388)~夜汽車慕情、夏の夜の音3~
文学の発信者がどんな位置取りをするのかは興味深いテーマだ。正岡子規は根岸の「旧加賀藩前田家下屋敷の侍長屋」の一軒に住んだ。「根岸の里の侘び住まい」、ローカルポジションである。...
-
下北沢X物語(1387)~続「水車が教える環境学」~
水車は単独にその場所にあるのではないということを知った。主たる動力装置の材は近隣から得られたものだ、地域の環境と相まって存在し、地域の自然とも密接に結びついていた。「かつては水車...
-
下北沢X物語(1386)~水車が教える環境学~
進歩発展至上主義は行き詰まっている。それは居住する地球の有限性が明確になってきたからだ。資源の払底、そして、なによりも大きいのは地球規模での環境の悪化、劣化である。 今日我々は...
-
下北沢X物語 (1383)~「仰徳集」の歌姫たち4~
「戦時におけるジェンダーとはどういうものだったのですか?」 以前に、広島の物語を書いたことで、外国人女性に取材を受けて、まっ先に聞かれたことがこの質問である。面食らってしまった。「...
-
下北沢X物語 (1382)~「仰徳集」の歌姫たち3~
言葉には発した人の魂が籠もっている。言霊である。「仰徳集」には一人の貴公子の死を悼む多くの詩歌が収められている。が、その時から時代が転変しその言葉も次第に歴史の中に消えつつある...
-
下北沢X物語 (1381)~「仰徳集」の歌姫たち2~
人は行為の動物である。何かをなしながら生きている。ひたすらに壁に錐で穴を開けていくようなものである。年を重ねて次第に気づいてくるのはその開けた穴がみなどこかで繋がっているこ...
-
下北沢X物語 (1380)~「仰徳集」の歌姫たち1~
都市のはざま、時間のあわいに呑み込まれてゆきつつある事象を言葉に刻んで、ささやかな記述の旅を続けている。心温まる話もあれば、哀れ深い話もある。 先だって駒沢練兵場跡を巡った...
-
下北沢X物語(1379)~髑髏延々被爆地獄絵巻~
叡智が欲望をどうコントロールできるか、われわれは文明の行く先へのブレーキを求められている。核兵器はその端的な例である。敵対する者へ壊滅的打撃を与える核兵器はあまりにも酷い。一...
-
下北沢X物語 (1378)~「幻想朗読劇 ダイダラボッチ...
ダイダラボッチは和語ではない。異民族言語だと言われている。それが代々代田に伝わってきたということは非常に興味深いことだ。 自分たちは先づ第一に、伝説の旧話を保存する力といふ...
-
下北沢X物語(1319)~北沢の尾山篤二郎2~
鉄道交点は人や物が離合集散する地点であった。設計図が造りだした地点ではあったが、そこには武蔵野という風景と固有の土地の文化があった。が、開発が進行するに連れ、それらは次第に侵食さ...
-
下北沢X物語(1318)~北沢の尾山篤二郎1~
詩歌人がひっそりと隠れて住んでいる町が下北沢鉄道交点一帯である。尾山篤二郎もその一人だと言ってよい。歌壇の大御所であった。郷里、金沢ではよく知られた歌人である。金沢市のホーム...
-
下北沢X物語(1317)~目黒の筍と音楽:荏原都市文化...
中心時間の辺境にある荏原には都市文化が埋もれている。その陰影が街角にほの見える。遠い旅よりも近間の旅が一層に面白い。 家の前には呑川が流れている。が、かつて一帯の住民は別の名...
-
下北沢X物語(1316)~「北沢川文化遺産保存の会」会...
「北沢川文化遺産保存の会」 会報 第34号 ...
-
下北沢X物語(1315)~鉄道交点自転車巡遊行1~
荏原は都会と都市のはざまにある。 東京駅を出た列車が品川を過ぎ八山陸橋を潜り抜けると、直線区間に入って速度を増す。すると夜行の乗客は、空気枕の口金に口をつけてぴぃぷうとやり出...
-
下北沢X物語(1314)~随想的荏原都市論~
郷愁の曲というものはあるものだ。その曲を聴くと頭脳の中に潜んでいる昔がつうんと刺激される。いつだったか渋谷のNHKにラジオの収録で行ったことがある。ちょうど昼時で、スタジオには...
-
下北沢X物語(1313)~続森茉莉の手紙から2~
森茉莉の手紙の文面からするとマリとヨーコの関係性において言葉の測量士は存在していたように思われる。「玉音」エピソードに続く文章である。編集者へ宛てた私信であるだけによけいに面...
-
下北沢X物語(1312)~続森茉莉の手紙から~
鉄道交点一帯には党派的な集まりが個別的に行われていた。福田正夫の「どんぐり会」もそうであったように思う。また、「文章会」もその一つだったと言える。 文章会での三好さんは、決ま...
-
下北沢X物語(1311) ~ある放浪女人の話~
武蔵野の谷の皺には思いがけないエピソードが畳まれていることがある。様々な人がいて様々な人生を歩いて来た。なにかの折に、思いがけず面白い話を聞くことがある。今の武蔵野には言葉の森...
-
下北沢X物語(1310) ~鉄道と文学雑感~
鉄道と文学というのが自身が携えている課題である。鉄道が文学にどのような影響を与えたかということである。これには深い興味を持っている。 先だって、滝坂道を歩いていたときこんな話を...
-
下北沢X物語(1309) ~「鉛筆部隊」のその後2~
古道の弓なりの曲線は人を心地よくさせる。先だって滝坂道を歩いた。方向としては南東へと向かっている。川も道も武蔵野はそちらへ向かう。こっちからあっちへ、歩きながら遙か昔の台地...
-
下北沢X物語(1308) ~「鉛筆部隊」のその後1~
「あれは、いい話ですね。映画にでもなりそうな話ですよねえ‥‥」 北沢川文学の小路で地図を配っていたときに思いがけず声を掛けられた。鉛筆部隊にまつわるエピソードのことを彼は言っていた...
-
下北沢X物語(1307) ~尾山篤二郎旧居判明2~
言葉とは、視覚的に捉えたものを記号化したものである。ゆえにその言葉には景色が映って見える。巧緻であればあるほどその景色は鮮明になってくる。 表現者が表現者たりうるのは記号...
-
下北沢X物語(1306) ~尾山篤二郎旧居判明1~
鉄道交点ノースブロックの情報は下北沢一番街の大月商店が閉店して、そのルートが閉ざされた。ところが思わぬ援軍が現れた。それは北沢小の同窓生である。 この奇縁というのもネッ...
-
下北沢X物語(1305) ~鉄道交点学校開学物語~
鉄道交点は機械近代の交差部である。来る方向と、行く方向が四つある。その利便性から人がより多く集った。下北沢文士町も機械の偶然性が創り上げたという要因があるゆえに文化的には一層...
-
下北沢X物語(1304) ~都市古道考現学を遊ぶ~
古道、青山に通ずるところから青山道とも言われる滝坂道を歩いた。日和が良くて歩いて行くと心持ちが晴れ晴れとしてきた。それは天気がいいばかりではない。古道そのものが心をも和らげてく...
-
下北沢X物語(1303) ~続随想的時間論~
競争原理を主とした時間は若者を疎外してしまう。生き方のノウハウを形成する間にも時間が高速で過ぎていき、置いてきぼりをくってしまう。 一昨日だったか、久し振りで自転車で北上した...
-
下北沢X物語(1302) ~随想的時間論~
先行きが見えない不透明な時代である。われわれはどこからどこへ行くのだろうか。それは分からない。自身の興味の源泉は「時間と空間の抹殺」にある。そこでどのようなショックを受けたか...
-
下北沢X物語(1301) ~下北沢文士町文化地図の配布4...
どこからどこへ行くのかというのは人生という旅における大きな疑問である。それは現実の空間における問題でもある。川の流れも一つである。どこからどこへ流れているのだろうか。 昨日の...
-
下北沢X物語(1300) ~下北沢文士町文化地図の配布3...
何処から何処へ行くのだろうか?、古来から人々が抱えている大きな命題である。このことは未曾有の経済危機を迎えた今一層に切実な問題としてある。金銭という価値軸ではなく、心の拠り...
-
下北沢X物語(1299) ~下北沢文士町文化地図の配布2...
文化とは土の匂いのするものである。その地域固有のものだ。とくに地域に流れている川はそれとの関係は深い。蛇行した淀みに上流から流れてきた芥が澱む。「流れゆく大根の葉のはやさか...
-
下北沢X物語(1298) ~下北沢文士町文化地図の配布1...
知ろうとする世界は分かってくる。その世界は至るところに転がっている。所在なげに路傍に佇んでいる人に話しかけるとその一端が見えてくることもある。 「そうですね、変わりましたよ。昔...
-
下北沢X物語(1297)~森茉莉の手紙から6~
下北沢鉄道X交点では文学の炎が密かに燃えていたようだ。それは上甲平谷主宰の俳誌「火焔」であり、福田正夫の詩誌「焔」である。共に北沢三丁目に居住していた。後者は若いときの同人誌...
-
下北沢X物語(1297)~「北沢川文化遺産保存の会」会...
「北沢川文化遺産保存の会」会報 第33号 会長 長井 邦雄 ...
-
下北沢X物語(1296)~森茉莉の手紙から5~
荏原一帯は武蔵野の範囲に含まれるが、丘陵の広がりや高さ、また流れている川の大小によって土地の形成がまるで異なる。荏原の都市地域文化の特性は地にある。昨日、旧桜新町分譲地を巡...
-
下北沢X物語(1295)~森茉莉の手紙から4~
鉄道X交点は価値の坩堝である。その混沌としたものの中に一筋の繋がりをふと発見しては、「ああ、あれはそうだったのか」と独りで感心して、しばしパソコンのキーボードへの打ち込みを...
-
下北沢X物語(1294)~森茉莉の手紙から3~
山の手と新興住宅地、荏原地域の多くは後者である。首都が膨張するに連れて市域は西へと広がっていった。そういう中で世田谷はどういう位置づけだったのか。山の手と新興住宅地の比較批評がと...
-
下北沢X物語(1293)~森茉莉の手紙から2~
下北沢文士町というのは批評的な形容である。村ではなく町である。多くの文士の参集は人間によってというよりも鉄道交差が大きな要因だと自身では指摘している。 批評は言い換えれば一...
-
下北沢X物語(1292)~森茉莉の手紙から~
下北沢文士町で地域のにおいをもっともよく残しているのは森茉莉である。駅前北口市場で、代沢通りで、北沢八幡神社前で、彼女の姿が思い浮かんでくる。彼女がそれらの場面を小説やエッセイ...
-
下北沢X物語(1291)~「下北沢文士町文化地図」大改...
下北沢X鉄道交点を中心とした地図を作って来て、今回は改訂三版となる。ここに戦災被害地区が入ることによって失われた世界が蘇ったように思う。今まで個別的に存在していたものも戦...
-
下北沢X物語(1291)~「下北沢文士町文化地図」大改...
偶然の密度が濃厚な場が下北沢X鉄道交点である。一皮剥くと古代が現れ、二皮剥くと戦争中の不発弾が現れ、三皮剥くと、至る所からいぶし銀やてかてか金の言葉が掘っくり返される。 下...
-
下北沢X物語(1290)~「下北沢文士町文化地図」大改...
デザインと文学が出会ったのは下北沢鉄道交点での文化探査が機縁だった。 このブログで下北沢を取り上げ始めたのは2004年9月13日だった。この翌日の記事が「産土神が宿る街」...
-
下北沢X物語(1289)~若山牧水と駒沢(終)~
自然という隧道を潜り抜けて、その自然に染まって旅をする。その折々の歌や文は土地の風光に染まっている。若山牧水は武蔵野を愛していた。「武蔵野」を言い表した文章の末尾をこう締めくくる...
-
下北沢X物語(1287)~若山牧水と駒沢(3)~
近代とは何か、それは風景破壊の歴史だったとこの頃つくづく思う。歩いていると至るところに削平の跡が目に付く。あそこにも、ここにもである。 一昨日のことだった。呑川を歩いて下った。中...
-
下北沢X物語(1286)~若山牧水と駒沢(2)~
人々が評価する文学と文学先端の批評が評価するものとは異なるものだ。若山牧水は前者が高くて後者が低い。わたしは牧水の全集の旅をしていてそれを強く感じ始めた。一つの評価の観点を言うと...
-
下北沢X物語(1286)~若山牧水と駒沢(1)~
山牧水は日本近代の原風景を短歌や散文に文字で書き写している。自身は、その作品をあれこれと読んでは過去風景の旅を楽しんでいる。郷愁的文字風景旅行である。そんなことをしているとき...
-
下北沢X物語(1285)~鉛筆部隊と武剋隊(終)~
言葉には魂が宿っている。言霊である。立川裕子さんが書き記した手紙の一枚一枚を見ていくと、そのときそのときの状況や場面がありありと浮かんでくる。戦争の中にあって敵に負けることなく...
-
下北沢X物語(1284)~鉛筆部隊と武剋隊6~
時は現在進行形で進んでいく物語である。 今日鉛筆部隊の一員であった立川裕子さんから電話をいただいた。近々退院されるとのことだった。前から岐阜の親戚の家に行くというのは聞いてい...
-
下北沢X物語(1284)~下北沢鉄道X交点因縁物語4~
戦争の重さ、辛さ、苦しさは手紙の言葉に綴られていた。一年三ヶ月に及ぶ親子の手紙のやりとりの中にそれは充分汲み取れる。誰もが必死だった。戦争が終わって母と子供とが手紙のやりとりを...
-
下北沢X物語(1283)~下北沢鉄道X交点因縁物語3~
下北沢鉄道X交点一帯には偶然の機縁が多く落ちている。その一つのひょんな因縁から元鉛筆部隊の立川裕子さんと出会った。彼女は思いの箱を沢山持っていた。手紙もその一つである。 「わたし...
-
下北沢X物語(1282)~下北沢鉄道X交点因縁物語2~
小田急線を縦軸、井の頭線を横軸として、下北沢の街を座標軸に見立てたのは清水博子である。それぞれのブロックを象限として捉えているところは鋭い。新文化論である。この第一象限の機縁...
-
下北沢X物語(1281)~下北沢X鉄道交点因縁物語~
偶然の密度が濃厚なところが下北沢X交点である。機縁が濃厚に集まっていることには気づかないでいる。あるときに、「ああ、あれとあれとは繋がっていたのか」と思いついて驚くことがある。...
-
下北沢X物語(1280)~鉛筆部隊と武剋隊5~
特攻の話というといつも思い出すことがある。笹塚の金子静枝さんはその話をするときはいつも涙ぐんでしまう。どうしても涙が出て仕方がないのよと。 彼女は北沢五丁目に住んでいた。昭...
-
下北沢X物語(1279)~「北沢川文化遺産保存の会」会報 第31号...
「北沢川文化遺産保存の会」会報 第31号 会長 長井 邦雄 ...
-
下北沢X物語(1278)~鉛筆部隊と武剋隊4~
武剋隊は関東軍で急遽編成された部隊のようだ。西満州の白城子早台飛行場に集結した。昭和20年2月13日のことだ。翌、14日に「5個編隊15機に各々整備員同乗」して平壌に着いた...
-
下北沢X物語(1277)~鉛筆部隊と武剋隊3~
「あの戦争の時代、特攻隊の人たちは青春をああいうふうに燃やすしかなかったんですよね。死んでいった人たちの思いは大切にしなくてはいけないと思うのですよ。立川裕子さんはそんなことを...
-
下北沢X物語(1276)~鉛筆部隊と武剋隊2~
インターネットでの偶然的な出会いから一つの真実が分かった。そればかりかたまたま鉛筆部隊の書簡を手に入れられた山梨の矢花克己さんからはそれらの資料のすべてのコピーが送られてきた。...
-
下北沢X物語(1275)~鉛筆部隊と武剋隊
わたしたちの記憶から戦争は遠ざかっている。惨たらしく、惨めで、辛い、戦争だった。が、今でも人びとの記憶の中に生きている。一昨年のことだった、広島で新谷ヨシ子さんに会った。かつて...
-
下北沢X物語(1274)~駒場の戦跡を巡る小さな旅~
比較戦跡論という視点もあり得ることを駒場の戦跡を巡って思ったことだ。どこと比較するか。それは「駒沢練兵場」である。 駒場地区には西から「輜重兵第一大隊」、「近衛輜重兵大...
-
下北沢X物語(1273)~「鉛筆部隊」の64年の軌跡6...
「鉛筆部隊」の逸話は果てることのない物語である。わたしが一番嬉しく思うのはこの話が静かに、そしてひそかに伝わりつつあることである。 一連の記事に触れて、当時の子どもたちの親へ...
-
下北沢X物語(1272)~「鉛筆部隊」の64年の軌跡5...
私たちの使っている言葉というものの重みが薄れて来ている。その分人と人の関係性も一層に薄くなっている。しかし、鉛筆部隊の子どもたちが64年前に出会った人、その人びとが発した言葉は未...
-
下北沢X物語(1271)~「鉛筆部隊」の64年の軌跡4...
このブログへの一つのコメントから戦争物語は始まった。時間冒険旅行だとも言える。が、これには終わりがない。筋を持たない、日々の時間の展開の中で、話は、あっちに行き、こっちに飛びして...
-
下北沢X物語(1270)~「鉛筆部隊」の64年の軌跡3...
鉛筆は身を助けるものだ。言葉で現象を捉え、それを文字化する。繰り返しその訓練を行うことで書く力、他者へ訴える力がついてくる。それが自分を助けることになる。 時は経巡る、...
-
下北沢X物語(1269)~「鉛筆部隊」の64年の軌跡2...
古い過去を探し当てようとする人はパイオニアである。 昨日、昼には三田用水跡を探索し、夜には下北沢タウンホールで東京大空襲をテーマとした演劇を観た。下北沢から家に帰るまで、三田用水...
-
下北沢X物語(1268)~ドンガラ様への遙かな旅~
この頃は自転車には乗らない。歩いて各所を探訪している。この日常での行動、動きは文章にも反映するものである。前の自転車での文化探査は速度がはやい分、多くのものが発見できた。が、...
-
下北沢X物語(1267)~「鉛筆部隊」の64年の軌跡~
気づいてみると文学詩歌の痕跡が鉄道交点近辺に集まっていた。それはなぜなのかという記事を書いていた。過去ログの、「下北沢X物語(1028)~文学詩歌はなぜ鉄道交点に集うのか7~」で...
-
下北沢X物語(1266)~蘇生した学寮歌への静かな反響...
疎開先のお寺で歌われていた寮歌探しは、往時に深い郷愁を持つ人びとに深く静かに伝わっている。自身の知らない意外なところにそれが伝わっていて驚きもする。 喫茶店「邪宗門」を...
-
下北沢X物語(1265)~蘇生した学寮歌への静かな反響...
「聖丘学寮のうた」は64年前の広丘村の郷福寺で響いていた歌である。この思い出の歌は、奇縁奇遇が重なって奇跡的に見つかった。ところが話は終わらない。この背後には幾つものエピソー...
-
下北沢X物語(1264)~蘇生した学寮歌への静かな反響...
わたしたちは時間の船に乗って人生という旅を続けている。時は刻々と過ぎて今の一瞬もたちまちに過去となる。そのときそのときの思い出をどれだけ貯め得たかというのが人生であるように思う。...
-
下北沢X物語(1263)~蘇生した学寮歌への静かな反響...
一つのエピソードは地中から出た植物のようなものだ。この下には数え切れないほどのエピソードの根が生えている。 ネットでの偶然から蘇った学寮歌、「聖丘学寮のうた」、この歌への記憶を...
-
下北沢X物語(1262)~蘇生した学寮歌への静かな反響...
「音楽は人びとの心に愛情の火をともすものだ。」 浜館菊雄「学童集団疎開」の一節に書かれてある言葉だ。戦争中代沢小児童は長野県に疎開した。そのときの記録である。当初は浅間温泉に、つ...
-
下北沢X物語(1261)~雑感的時間論~
時間は時代状況を反映するものである。東京の西郊に位置する荏原は都心からやや距離をおいたところにあって、中心時間の動きの「きざはし」がしばしばかいま見られる。このところ感じているこ...
-
火山性地震が増えた
火山性地震が増えた 山が盛り上がる変化を感知 これで、噴火が予測できたそうです。 実は、事前の警戒レベル引き上げに初成功なのだそうです。 科学の進歩はすばらしいですねぇ。 地...
-
下北沢X物語(1260)~「北沢川文化遺産保存の会」会報 第30号...
「北沢川文化遺産保存の会」会報 第30号 会長 長井 邦雄...
-
下北沢X物語(1259)~64年目に日の目をみた疎開児...
ブログでの物語は新しいジャンルである。それは今我々が過ごしている時間とほぼ同時的に進行していくという点があるからだ。スリリングである。明日の展開が読めないという面白さと怖さが...
-
下北沢X物語(1258)~64年目に日の目をみた疎開児...
思い出の歌というのがそれぞれにあるだろう。が、それは多くは一般化された歌曲である。個別的なローカルなもので今もなお人の心の内に生きているものは数少ない。「聖丘学寮のうた」は知る...
-
下北沢X物語(1257)~64年目に日の目をみた疎開児...
ネットでの思いがけない繋がりが機縁となって過去の埋もれていた事実がつぎつぎに掘り起こされている。そんなことからここ数日、なんとも言い様のない思いに包まれている。劇中のドラマよりも...
-
下北沢X物語(1256)~64年目に日の目をみた疎開児...
疎開先で歌われていた寮歌が懐かしいという独りの人の熱い思いが、あっちへ転び、こっちへ転びしてとうとう行き着くところに、行き着いた。比喩的に言うとその発信はブーメランのようだった...
-
下北沢X物語(1255)~64年目に日の目をみた疎開児...
言葉は時代を映す鏡である。現今という時代の速度をも反映している。 文明は高速化を求めてやまない。速く、速くというせわしない要請は言葉に及んでいる。が、思考し、思念し、そして書...
-
下北沢X物語(1254)~久が原半島先端岬紀行2~
時間という方舟に乗ってわれわれはさすらいを続けている。 近代文明は速度を追い求めてやまない。方舟の速度は一層に速くなっていくばかりだ。一年、一年は高速度で過ぎていく。人間は...
-
下北沢X物語(1253)~久が原半島先端岬紀行~
武蔵野の谷に逸話を求めての探訪は果てのない旅である。谷の一枚一枚の皺に歴史の痕跡が隠されている。ときに思いがけない光景に出会って心ときめくことがある。つい昨日のことだ、時を載せた...
-
下北沢X物語(1252)~荏原のダイダラボッチ伝説2~
武蔵野のダイダラボッチ伝説には固有性がある。丘陵の間の皺にできた湿地を指す場合が多い。一帯は乏水、水に乏しい土地だった。水源であるハケは生活上欠かせないものである。多くの場合は窪...
-
下北沢X物語(1251)~荏原のダイダラボッチ伝説~
人間は絶えざる妄想を抱いて生きる動物である。ゆえに思考が間違っていないのかたゆみない点検が求められる。他と己との比較である。それは境を越えてなされるべきだと思った。 自身がダイ...
-
下北沢X物語(1250)~めぐろのダイダラボッチ伝説9...
目黒区は内陸区、大田区は臨海区である。閉ざされた地域、解放された地域、そういう差はあるのではなかろうか。海軍が海に臨んだ大田区に海軍村を形成していたら、対外戦略もだいぶ異なった...
-
下北沢X物語(1249)~めぐろのダイダラボッチ伝説8...
めぐろのダイダラボッチを調べようとしたら海軍村に行き会ってしまった。衾町公園の側にダイダラボッチがあったのではないかと行った。すると、目黒は海軍軍人が多く住んでいたという話になっ...
-
下北沢X物語(1248)~めぐろのダイダラボッチ伝説7...
ダイダラボッチは単純な問題ではない。我々のルーツに遡っていく話である。巨人の足跡というのは伝説としては面白いが、この巨人譚は柳田国男が言っているように「必ずしも見かけほど呑気な問...
-
下北沢X物語(1247)~めぐろのダイダラボッチ伝説6...
富士の嶺は巨人ダイダラボッチを想像する指標ではなかったかとも思う。 このところ冬型の気圧配置が続き、北からの季節風が大気の汚れを払ってくれて、真っ白に雪をかぶった富士がよく見...