1.24チャオのリアリティ日記(24) 大仏- 2009/11/08 19:23
- 人間は年を取るとともに宗教心が芽生えてくるらしい。そんなわけで僕はちょっと郊外までドライブがてらに茨城県にある牛久大仏というのを観に行った。 とにかく大きい大仏さんであった。宗教とは基本的に人をハッとさせることで成り立っていると、ノブは生前いっいたが、まったくだ、例えば、有名なバチカンの寺院だって、見事な壁画で人を魅了している。まあ、そんなわけで、宗教について少し考えてみました。
1.22 チャオのリアリティ日記 (22) きつねうどん- 2009/10/20 20:20
- キンクスのメンバーはみんな大阪出身だったので、きつねうどんは子供の頃からよく食べていました。 大阪のきつねうどんの特徴は、昆布の出汁を利かせた独特の甘味と油揚げに浸み込んだ甘味。それでいて、揚げがおかずでうどんがご飯と考えれば、丼物のような手軽さ。大阪人にはたまらないソウルフードですね。 しかし、考えてみれば、このきつねうどん。手の込んだ料理です。油揚げを甘辛く煮ふくめる手間。うどんを適度な腰の…
1.21 チャオのリアリティ日記 大阪- 2009/10/17 19:26
- 大阪といえば、僕の出身地です。でも、随分、住んでいないので、今、どうなっているのか、よくわかりません。そんなわけでこの間、久しぶりに大阪に行ってみました。 なんか、色々変わっていましたね。例えば、むかしよく行っていた阪急ファイブはなくなっていましたし、心斎橋のあたりも全く面影が、ノブのお米屋さんもなくなって、診療所の入っているビルになっていましたし。空堀の商店街も地下鉄の駅なんかできていて、賑や…
甘い涙- 2009/10/08 21:40
- 泣くのが当たり前だったのに、どうして今は泣けないんだろう。 涙にも味がある。 それもしょっぱいだけではないのだ。 甘いような不思議な味のする涙があるらしい。 しかし私は涙を味わったことがない。 しょっぱいぐらいしか知らないのでとても気になる。 その甘い涙を舐めてみたいと思うのだが、なかなか見つからない。 泣きたいが泣けなかった私は、泣いている人を探していた。 思っているよりもなかなか見つからない。 …
1.15 チャオのリアリティ日記(その15)- 2009/09/20 19:26
- この間、人気のウルフルズのリーダーと話をしたら、こんなことを言っていた。 「僕は日本のアーチストの歌を聞いて、例えば、忌野清志郎さんみたいになりたいと思いました」 と、その他にも最近の若い人に聞いてみると、みんな日本のアーチストを聞いて憧れていたという。逆に、外人のアーチストはそれほど聞いたことがなくて、憧れたこともないそうである。 そういえば、最近は、いわゆる洋楽を聴く人が少なくなったそうです。確…
或る女事務員 第2章 旅立ちの日 第6節 旅立ちの日- 2009/09/03 19:34
- 東京に旅立つ日の朝、私は身の回りの品物を詰めたボストンバックを持って、父親の運転する車に乗って、家族と共に駅へ向かった。 駅に着くと、木村君や山本君といった同級生が待っていた。私たちは彼らと話しながら列車を待っていた。もう少しで列車に乗るために改札口を抜けようと思った時、山本君が私の肩を叩いた。山本君の方を振り返ると、山本君は駅舎に入口の方を顎で指した。そこには陰からちょっと顔を見せてる沼さんがい…
或る女事務員 第2章 旅立ちの日 第5節 卒業- 2009/09/02 19:22
- 私は、なんとか東京にある私立大学の工学部の建築学科に合格して、卒業後は東京に出て行くことにした。沼さんは地元の国立大学の教育学部の受験に失敗して浪人することになった。 卒業式の前日に、私と沼さんはクラスのお別れ会で、久しぶりに会った。高校3年の3学期というのは、たいてい大学の入試で、みんな余り学校にはこないものだ。 「児玉君、よかったね。4月からは東京で大学生だよね」 沼さんはそう話しかけてくれた。 …
或る女事務員 第2章 旅立ちの日 第4節 文化祭の後- 2009/08/30 19:37
- 文化祭の後、私たち3人はギターを控えて、勉強というものに打ち込んだ。沼さんへのギターの教授もやらなくなった。しかし、沼さんとは話すことは何度かあった。 木村君は「児玉、沼とつきあっているのか」 と冷やかし半分に聞くが、私は特別に沼さんに感情を持っていなかったので、曖昧に笑って、 「それはないよ」 と言った。木村君はそれを聞くと、ちょっと変な表情で、 「まあ、それなりに青春だよね」 と言って笑ってくれた。 …
或る女事務員 第2章 旅立ちの日 第3節 練習- 2009/08/28 19:36
- そう言っても、気がつくと私は沼さんにギターを教えるようになった。 学校の音楽教室に放課後、沼さんともう一人の女子、名前は忘れた、の2人を私と木村君が教えるようになった。その様子を見て、山本君が、 「僕だけ仲間はずれかい」 と言ったので、結局の3人で沼さんたちを教えるようになった。 そんなある日、私と沼さんは2人で並んで、自転車に乗って下校していた。 「ギターちょっと上手くなったよね」 私は沼さんに言った。…
或る女事務員 第2章 旅立ちの日 第2節 ギター- 2009/08/22 19:30
- ギターを弾くのは楽しかった。放課後の校庭の隅で友達とギターを弾くのが唯一の楽しみだった。もっとも、学校でギターを弾く腕前になるには、かなり練習した。 ギターはフォーク・ギターと呼んでいたアコースティクギターだったが、もちろんエレキギターも持っていて、家で弾いていた。エレキギターの場合は、ヘッドセットをアンプに差し込んで聞けば、音が外にもれないので、下手にフォークギターを弾くよりも家で静かに練習する…
或る女事務員 第2章 旅立ちの日 第1節 エピローグ- 2009/08/20 19:36
- 私が高校生の頃は、ギターを弾くのが流行っていた。今でも流行っているのだろうとは思うが、私が高校時代の思い出すときには、いつもギターを演奏する自分の姿だった。そんなところで、ある楽器店の前を通りがかった時、ウインドウに飾られている、サンバースト塗装を施されたレスポールに目についた。そのままフラフラと私は楽器店の中に入っていった。 そして、そのギターを手にとって、そのずっしりとした重みを感じ取った。そ…
隠れ処2- 2009/07/02 22:26
- 「ねぇー悠、わたしにも、ホットね」 カウンターの彼にそう声をかけて、ママは、きっちりイスに座りなおして、 オレのほうへ向き直った。 「あの・・・『ママ』って呼ばれてますけど・・・」 「ああ、わたしねぇ、この先の、『天の半分』っていうカマバーの雇われママなのよぅ。 よろしくねー、って云いたいとこだけど、高校生は入店禁止ねー」 そういいつつも、セカンドバックから、名刺を出してきて、ご丁寧にオ…
隠れ処1- 2009/07/01 22:25
- 浮き足立った街が、嫌いだ。 クリスマスだと云って、なんで日本人がこんなにお祭り騒ぎしてるのか。 オレは無神論者だし、別にキリストの誕生日を日本人が祝うのがおかしいとか 云いたいわけじゃないけれど。 無節操だとは思うけれども、そんなことはどうでもいい。 ただ、もう、赤と緑と金と銀とに彩られた街が賑わって、プレゼントを買わないと それこそ非国民みたいに思われるような空気がたまらない。 いっそ、ひとりが…
或る女性事務員 第1章 買い物 第5節 身の上話は続く- 2009/08/11 19:34
- 「お子さんは何歳」 「来年、小学校なんです」 佐藤さんはそう答えた。その表情は笑っているようでもなく、泣いているようでもあった。 「大変なんですよ、女、一人で子供を育てていくのは」 佐藤さんはポッリと言った。私はなんて答えるか考えてしまった。二人ともアイスは食べ終わっていた。 「主人とは、離婚しました。2年前」 別に聴きたくはなかったが、佐藤さんは身の上を話した。私は黙って聞いていた。 「まあ、主人に別に…
或る女性事務員 第1章 買い物 第4節 身の上話- 2009/08/09 19:27
- 「いつもお会いしますね」 私はなんとなく話しかけた。佐藤さんは私の方を見た。やや丸顔で目は切れ長で、なんというか形容し難い顔だった。 「そうですね。いつもこの時間に買い物に来るんですよ」 「そうですか」 「桑田さんもいつもこの時間帯に買い物ですか?」 私はアイスを食べていたのでちょっと答えるのに間があいた。 「桑田さんは、こちらには単身ですか?」 「ええ、家内が妊娠で実家に帰っているので」 私が答えると…
1.13. チャオのリアリティ日記(13)父親として- 2009/08/05 19:26
- 僕にはどういうわけか父親がいない。子供の頃、母親にそのことを聞くと「事故で死んだ」と言われた。まあ、多少複雑な事情があるのかもしれないが、それを忘れさせてくれたのが、キンクスの仲間だった。みんなそんなことは気にしていないように、僕と普通に付き合ってくれたから感謝している。 ただ困ることは、物心着いた時から父親がいなかったので、父親というものがわからない。実際、娘が生まれて父親になった時、僕は…
6.10. 私のことだけど 長いわかれ 思い出の写真- 2009/07/30 19:47
- 「さあね、決めてないよ。いや決めなくても自然と決まるような気がする」 そうだった。諦めるべきことは自然に決まった。私はノブを諦めざる得なくなり、ノブは人生そのものを諦めさせられた。 それは、仮面を被って生きて、加寿子を2人で裏切ったための「罰があたった」のか、それとも、「運命やろな、人間、いつかは死ななあかん」ということなのか。 ノブのお葬式の時、私の隣に座ったミッキーは、こう言った。 「ノブ様が死…
6.9. 私のことだけど 長いわかれ 最後のお赤飯- 2009/07/29 19:27
- 大阪でノブのお姉さんと会った後、私は一人で闇の中を歩いているような気持ちになった。そして、大阪の私の実家に一泊して、そのまま、東京に戻った。 その日は、例の如く、ノブだけが東京に泊まり、加寿子が伊豆にいるという日だった。私はなんとなくノブと会いたくない気がしていたが、東京の会社に戻ると、ノブから内線電話が掛かってきた。「今夜来ないか」という電話だった。私は「いいわよ」と答えた。 渋谷のマンションに…
6.8. 私のことだけど 長いわかれ 忠告(6)- 2009/07/28 19:44
- 私は渋谷のノブのマンションでノブと会っていた。加寿子とノブは並んで座って私と向かい合っていた。 「ノブ様、どうですか、奥様の第1子ご懐妊のご感想は」 私はふざけて言った。 「ノブ様は、本当に辞めて欲しいです。山口様」 ノブは顔をしかめて言った。 「まあ、いいじゃあない、ミッキーの歌がヒットしているんだから、これもノブ様のおかげよ」 加寿子は笑って言った。 「今は、わかるんでしょ、生まれる前に、男の子か…
1.12. チャオのリアリティ日記(12)恩ある人には弱いもの- 2009/07/27 19:26
- 久しぶりに会社でミッキーと会った。というか、ミッキーの旦那さんがやるファッション・ショーの招待状を持ってきたので、少しタカシ達と一緒にミッキーと茶飲み話をした。 ミッキーと言えば、今も昔と変わらず美人で、僕は初めて会った時「こんな美人が日本に生息しているとは信じられない」と思ったほどだ。そして昔は歌手、そして今はセレブ妻タレントとして活躍している。そして、歌手としてデビューして以来、ノブのことをノ…
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