「とりあえず、人殺しを反省するにも反省するための心がないんだから仕方がない」 形式的には反省できるけどね、とつけ加えてみると彼女に眉をしかめられた。 視界の隅に先ほどからちらついている黒い影はというと必死に笑いを堪えているようだった。 アレもやはり、自分とは別の意味でどこか正常という境から逸脱しているようだ。 「子供の死体は……」 殺すことばかりに薫の思考は囚われて、殺した後どうなるかなどまったく念頭になかった。 薫自身、死にたいする恐怖心を少しも抱いていなかった、というより〝死〟そのもの自体に無関心だった。
- 1